こんにちは、週末呑兵衛まこつです。
今回は、ひと夏の出会いがあった秋田県が誇る銘酒「やまとしずく純米吟醸」について、その魅力を深く掘り下げていきたいと思います。
真夏の午後、私は酒屋の冷蔵ショーケースの前に立っていた。ガラス越しに並ぶ数々の日本酒たちが、涼しげな光を放っている。久しぶりの日本酒購入に、胸の高鳴りを感じつつも、選択を誤りたくないという思いに駆られていた。
「あの銘柄は確かに絶品だったな」と、過去の経験を思い返す。しかし、心の奥底では新しい冒険を求めていた。五十路を目前にしながらも、心は少年のままでありたいという願望が、静かに燃えていたのだ。
そんな葛藤の中、ふと目に留まったのが「やまとしずく純米吟醸」だった。鮮やかな新緑を思わせるラベルの文字が、グリーンのボトルに映えている。まるで、夏の森が瓶の中に閉じ込められているかのようだった。
迷いを振り切るように、私はそのボトルを手に取った。レジを済ませ、急ぎ足で帰宅する。家に着くなり、エアコンの温度を最低に設定し、やまとしずくを冷蔵庫の最も冷えた場所に滑り込ませた。
待つこと30分。十分に冷えたやまとしずくを、お気に入りのワイングラスに注ぐ。透明感のある淡麗な酒体が、グラスの中で静かに揺れる。
テーブルには、今朝市場で買い求めた鮮度抜群のお刺身と、ゆでたてのえだまめを並べた。完璧な夏の宴の準備が整った。
最初の一口。キリッとした冷たさと共に、やまとしずくの繊細な味わいが口の中に広がる。フルーティーな香りと、米の旨味が絶妙なハーモニーを奏でている。
窓の外では蝉が鳴き、灼熱の太陽が容赦なく照りつけている。しかし、この瞬間、私の中では爽やかな風が吹いていた。
「なんも言えねえ。。。」
思わず声に出してしまった。グラスを傾けながら、私は新たな冒険の扉を開いた喜びに浸っていた。この夏、やまとしずくとの出会いは、私の人生に新しい彩りを添えてくれたのだ。
若干脚色しましたが「やまとしずく純米吟醸」と、ひと夏の思い出です(笑)
今回はそんな思い出深い「やまとしずく純米吟醸」を掘り下げまとめてみました。日本酒通の方から初心者の方まで、この記事を読めば「やまとしずく純米吟醸」の素晴らしさが十分に伝わるはずです。さあ、秋田の誇る至高の一滴を味わう旅に出発しましょう。
秋田が育んだ銘酒、やまとしずく
やまとしずくは、秋田県大仙市に本社を置く「秋田清酒株式会社」が醸す銘酒です。秋田清酒株式会社は、「出羽鶴蔵」と「刈穂蔵」という2つの酒蔵を所有しており、やまとしずくは「出羽鶴蔵」で作られています。1865年(慶応元年)の創業以来、150年以上にわたって日本酒造りに携わってきた老舗蔵元です。1972年に株式会社として創立され、その長い歴史の中で培われた技術と、秋田の豊かな自然が生み出す原料が融合し、やまとしずくは生まれました。
やまとしずくは、秋田県の伝統と革新が融合した日本酒ブランドです。その名前の由来は、秋田清酒株式会社の創業時にさかのぼります。1865年、現在の秋田県大仙市に「ヤマト酒造店」として創業された際の屋号「ヤマト」から着想を得ています。
1994年、地元の酒販店と秋田清酒株式会社が協力して立ち上げたこのブランドは、創業時の精神を受け継ぎつつ、現代の味覚に応える日本酒を目指しました。「やまと」という言葉に、清らかな「しずく」を組み合わせることで、純粋で洗練された酒質を表現しています。
このブランド名には、伝統を守りながらも時代とともに進化する日本酒づくりへの情熱が込められており、秋田の豊かな自然と匠の技が生み出す至高の一滴を表現しているのです。
原料米の物語
「やまとしずく」の酒造りは、秋田酒こまちに根ざしています。大仙市南外・神岡地域の豊かな土壌で丹念に育てられたこの酒造好適米は、やまとしずくの味わいの基盤です。契約栽培により、蔵に隣接する田んぼで育つ秋田酒こまちは、最高品質を誇ります。
55%まで磨かれた秋田酒こまちは、独自の吟醸香と鮮やかな旨味を生み出します。爽やかで滑らかな口当たりは、秋田の自然を映し出し、地元栽培へのこだわりがやまとしずくの個性を形成しています。このように、地元の恵みと共生する心が、やまとしずくの魅力を高めています。
仕込水の神秘
やまとしずくのもう一つの特長は、その仕込水にあります。蔵からさらに奥まった山間にある水源から湧き出るこの水は、1500万年前に海の底だった地層を通り抜けてきた特別なものです。ミネラルを豊富に含んだこの湧水は、酒に多様で鮮やかな味わいを与えます。
この水は、まるで古代の海の記憶を抱えているかのように、やまとしずくに独特の風味と深みをもたらします。自然が長い年月をかけて育んだこの水は、やまとしずくの味わいに神秘的な魅力を添えているのです。
やまとしずくは、秋田の風土と歴史を映し出す銘酒であり、その一滴一滴には、地域の自然と人々の情熱が込められています。
製法へのこだわり – 55%精米と全量瓶貯蔵
やまとしずく純米吟醸は、55%という高い精米歩合で造られています。これは、米の外側45%を削り取り、中心部分の55%のみを使用していることを意味します。精米歩合が高いほど、雑味が少なくなり、より繊細で上品な味わいを実現できます。
また、全量瓶貯蔵という製法も特筆すべき点です。醸造後のお酒を一度タンクに貯蔵せず、直接瓶詰めして熟成させる方法です。これにより、フレッシュな香りと味わいを保ちつつ、適度な熟成感を得ることができます。
AK-1酵母(秋田流・花酵母)の使用
やまとしずく純米吟醸では、AK-1酵母(秋田流・花酵母)を使用しています。この酵母は秋田県総合食品研究センターが開発したもので、さわやかで軽快なタイプの日本酒を醸造するのに適しています。ほどよく吟醸香があり、後味が軽いのが特徴です。
味わい
秋田の風土が紡ぐ液体の詩、やまとしずく純米吟醸。
グラスに注げば、春の果樹園が目覚めるよう。
リンゴとメロンの香りが、米の優しさと舞い踊る。口に含めば、絹のような滑らかさが舌を包む。
55%の精米が生んだ純粋な旨味が、
雑味を払い、本質だけを残す。+2の日本酒度と1.8の酸度が奏でる
爽やかな辛さと深い甘みのハーモニー。
春から夏への季節の移ろいを映し、フレッシュさと熟成の深みが交錯する。
クリーンな後味は、夏の清流のごとく。
次の一杯へと誘う魔法の水。
やまとしずくは、杯を重ねるごとに
秋田の大地と匠の技を語りかける。
おすすめの飲み方
やまとしずく純米吟醸は、冷やして飲むのがおすすめです。8〜10度程度に冷やすことで、華やかな香りと爽やかな味わいを最大限に引き出すことができます。
夏場は、氷を入れて楽しむのも一興です。ロックで飲むことで、溶ける氷とともに味わいの変化を楽しむことができます。また、炭酸水で割ったスパークリング日本酒としても楽しめます。
一方で、秋から冬にかけては、少し温度を上げて(15度程度)飲むのもおすすめです。温度が上がることで、米の旨味がより引き立ち、深みのある味わいを楽しむことができます。
おすすめのペアリング
やまとしずく純米吟醸は、その爽やかな味わいと華やかな香りから、様々な料理と相性が良いです。以下に、特におすすめのペアリングをいくつか紹介します。
- 刺身や寿司:やまとしずくの清々しい味わいは、新鮮な魚介類との相性が抜群です。特に、白身魚やイカ、タコなどの刺身と合わせると、お互いの味わいを引き立て合います。
- 冷やしトマト:夏場の定番おつまみ、冷やしトマトとの相性も抜群です。トマトの酸味とやまとしずくの爽やかさが見事にマッチします。
- 枝豆:シンプルながら、日本酒との相性が良いことで知られる枝豆。やまとしずくと合わせれば、夏の涼やかなひとときを演出してくれます。
- チーズ:意外かもしれませんが、やまとしずくはチーズとも好相性です。特に、フレッシュなチーズ(モッツァレラやリコッタなど)との組み合わせがおすすめです。
- 秋田の郷土料理:きりたんぽや稲庭うどんなど、秋田の郷土料理と合わせれば、より一層秋田の味を堪能することができます。
やまとしずく純米吟醸の魅力まとめ
ここまで、やまとしずく純米吟醸の魅力について詳しく見てきました。改めて、その魅力をまとめてみましょう。
- 秋田酒こまちという優れた原料米の使用
- 55%という高い精米歩合による上品な味わい
- AK-1酵母(秋田流・花酵母)による華やかでフルーティーな香り
- 全量瓶貯蔵によるフレッシュな味わいと適度な熟成感
- 爽やかでスッキリとした味わいと、米の旨味のバランス
- 様々な料理との相性の良さ
これらの特徴が見事に調和し、やまとしずく純米吟醸は多くの日本酒ファンを魅了し続けています。
やまとしずくのラインナップ
やまとしずくには沢山のラインナップがあります。私が呑んだやまとしずく純米吟醸以外も魅力的な商品もありますのでぜひ好みの逸品を見つけてみてはいかがでしょうか?
やまとしずく純米吟醸
やまとしずく純米大吟醸
やまとしずく純米酒
やまとしずく特別純米酒 陸羽132号
このほかのラインナップについても、リンク先より見ることができるのでぜひ覗いてみてください。
最後に
やまとしずく純米吟醸は、秋田の風土と蔵元の技術が融合して生まれた、まさに至高の一滴と言えるでしょう。その爽やかな味わいは、日本酒初心者の方にも親しみやすく、一方で、その奥深さは日本酒通の方々をも満足させる逸品です。
まだ試したことがない方は、ぜひ一度、やまとしずく純米吟醸を味わってみてください。きっと、秋田の豊かな自然と、蔵元の情熱を感じ取ることができるはずです。
そして、すでにやまとしずくのファンの方は、ぜひ様々な飲み方やペアリングを試してみてください。新たな魅力を発見できるかもしれません。
日本酒の世界は奥深く、まだまだ探求の余地がたくさんあります。これからも、素晴らしい日本酒との出会いを求めて、旅を続けていきたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
皆さんも、素敵な日本酒ライフをお過ごしください。乾杯!
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