二月、雪の夜。
しんしんと白く染まる街を歩き、ふと思い立って入った小さな酒屋。
目当ての銘柄は品切れだったけれど、棚の奥で静かに光る一本が目に留まった。
「仙禽」──どこかで聞いたことのあるその名に導かれるように手を伸ばした瞬間、
この冬いちばん温かい記憶が始まった。
今日ご紹介するのは、雪の夜の偶然がくれた奇跡の一本。
「クラシック仙禽 無垢」の物語を、じっくりとお届けします。
今日の一本 ― スペック早見表
- 蔵元:株式会社せんきん(栃木県さくら市)
- 原料米:ドメーヌさくら 山田錦 100%
- 精米歩合:麹米50%/掛米60%
- アルコール度数:15%
- 日本酒度:−2〜−3(やや甘口)
- 酸度:1.8 前後(やや高め)
- 味わい傾向:やや甘口・ジューシー系・軽快な酸味
- 特定名称:純米大吟醸(表示非公開)
- 参考価格:1,800 円(720 ml)

蔵元ストーリー
文化三年(一八〇六年)創業の老舗・せんきん。
現当主の薄井一樹氏は「古くて新しい酒造り」を掲げ、
仕込み水と同じ水脈の田で育てるドメーヌ米と、
生酛造り・木桶仕込みを組み合わせ、
米と水のテロワールを映す唯一無二の甘酸を完成させた。
クラシック仙禽 無垢は、その哲学を端的に語る代表格だ。
テイスティングノート

グラスに注ぐと、青リンゴとマスカットの瑞々しい香りがふわり。
やや甘口のやさしい甘みと、1.8 前後の酸が舌の上で弾け、
シルクのようにきめ細かな質感が余韻まで続く。
温度が上がるにつれ、酸がふくらみ、生酛らしい複雑さが顔をのぞかせる。
一杯ごとに表情が変わり、雪の夜に静かに開く花のようだ。
香り・味わい・全体まとめ
香り
- マスカット・青バナナの新鮮な果実香
- 清涼感あるハーブのニュアンス
- 余韻を引き締めるミネラル感
味わい
- 甘みと酸味の絶妙な調和でジューシー
- シルクのような舌触りと米の旨味
- 温度上昇で広がる生酛由来の奥行き
印象
- 飲むほどに深まる穏やかな旨味
- 15 ℃前後で最良のバランス
- 出汁を軸にした和食との至高の相性

ペアリング提案 & 温度帯
温度帯 | 合う料理 | 相乗効果 |
---|---|---|
8 ℃(冷酒) | 日光ゆばの刺身 | 豆の甘みと果実酸が調和 |
12 ℃(花冷え) | 宇都宮餃子(酢+黒胡椒) | 酸味と旨味のコントラスト |
45 ℃(ぬる燗) | 那須高原ヤシオマス塩焼き | 膨らむ旨味が脂を包む |
実飲エピソード
家に戻ると、窓の外では雪が音もなく降り続いていた。
灯りを落とした部屋でグラスに注げば、液面が淡く輝く。
鼻を近づければ、マスカットの甘い香りにハーブの清涼感が重なる。
そっとひと口。
シルクのようにきめ細かい舌触りと、ふくよかな甘酸が広がり、
冷えた指先までぽかぽかと温まる。
「偶然の出会いも悪くないね」とつぶやきながら、
静かな雪夜が、一段とやさしい静寂に包まれていくのを感じた。
よくある質問(FAQ)
Q1. 無垢とモダン仙禽の違いは?
A. 無垢は木桶×生酛の“クラシック製法”で米の旨味と甘酸を引き出すのに対し、モダンはステンレスタンク×速醸酵母でクリアな果実感を前面に出した設計です。
Q2. 開栓後はどれくらい日持ちしますか?
A. 冷蔵で 1 週間程度は風味を保ちますが、フレッシュ感を楽しむなら 3〜4 日以内に飲み切るのがおすすめ。
Q3. 常温保存は可能ですか?
A. 生酒に近い設計のため常温は避け、必ず 5〜10 ℃の冷暗所で保管してください。
まとめ & CTA
偶然の雪夜が運んでくれた クラシック仙禽 無垢。
米の素朴な力強さとジューシーな甘酸が織りなす、
仙禽らしさの真髄を味わえる一本でした。
出汁香る冬の和食と合わせ、15 ℃前後でぜひ試してみてください。
あなたの冬の夜にも、静かな温もりをもたらしてくれるはずです。
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基本データ
項目 | 内容 |
---|---|
JAN | ―(限定流通のため未掲載) |
保存方法 | 冷暗所(開栓後は要冷蔵) |
出荷時期 | 通年 |
製造元 | 株式会社せんきん(栃木県さくら市馬場106) |